« ゴルゴンゾーラ・チーズ・パスタ | メイン | 経験による裏付け »
2006年5月17日
『ドクターズルール425 医師の心得集』
アメリカのクリフトン・K・ミーダーさんが書いたものを(ハリソン内科学でおなじみの)福井次矢さんが訳したものです。南江堂。

ミーダーさんのステキな格言がたくさん載っています。診断プロセスのポイントや患者との関係に関する目からウロコが満載です。向こうのえらい人って熱い思いを冷静な言葉で表現できるじゃない、そういうのに僕弱いんです。
患者と話ながら後ずさりして病室から出てはならない.
Do not back out of the room as you are talking with thepatient.
すべての患者は,あなたから魔術を期待している.魔術には薬も手術も必要ない.
All patients want magic from you. Magic does not require pills or surgery.
患者の中には病人でなうてはならない者もいる.その必要性を否定しないこと.
Some patients have a need to be a sick. Do not deny that need.
徴候は“ある”か“ない”のどちらかである.決して“陽性”や“陰性”ではない.
A sign is eithre "present" or "absent." Sings are never "positive" or "negative."
出会ったのは6年生のとき、ポリ2整形外科の外病院実習で行った掖済会病院の休憩室。ふと置いてあった「ナースのルール347」って本を読んで感動!後日それのドクター版があることを知るなり即買い。以後、「ステキなドクター/ナースになってほしいなぁ」って思う大切な人にプレゼントすることにしておりました。
ところがこのたび、豊橋で健康診断の出張がありまして、「電車で読むものなんか持ってこー」って軽い気持ちで持ってったところ、帰りの電車で泣きそうになってしまいまして、いやぁ、最近大切なものを忘れてたなぁ、と思いを新たにすることができましたのでございます。
1つ目。こんな僕だけど医師であるがゆえに大いなる力を持っている、という認識。今までは自分ができない、おちこぼれてることばかりに着目してふてくされてたのね。患者さんに「先生のおかげですぅ〜ほんとありがとうございましたぁ〜(涙)」ってお礼言われても、「実際に治療してたの上の先生だし、僕何もしてないんですけどー」って心外な感じで、結果的に患者さんに対して消極的になってた。でもさ、腐っても鯛ってゆうか、未熟でも医師なのよね。検査、診断、処方をしなくても「医師である」だけでも患者に対する治療効果があるのだわ。「先生が言った」「先生が声かけてくれた」「先生に励まされた」そんなことでも患者にとってのプラスになるならそれでいいでないの。よく知ってる人、かしこい人、できる人、、、まわりと比べて自分のできなさを嘆くのは僕の個人的な問題に過ぎなかった!もちろん勉強していかなきゃだけど、今のままでもできることがあるわけで、そっちの方がプロとして大事なんじゃないかしら、とね。
2つ目。その人にはその人の世界がある、ということの再認識。僕は普通の人より変わってるせいだろうか、このへんのことは理解しているつもりだったんだけど、それでもやっぱり医師の視点から見るようになりがちで。薬を飲み忘れる、どうでもいいことをしゃべる、泣く、怒る、意識を失ったふりをする、糖尿病で入院してるのに間食をする、大量服薬をする、、、こういう患者にイライラして、腹を立てちゃう。でもそれって全部医師の都合。患者には人それぞれの知的レベルがあるし、感情があるし、疾病利得があるし、血糖コントロールよりも大事なことがある。もちろん医学に携わるものとしては全人類の健康を追求していかなきゃいけないんだろうけど、その前に医療(というサービス)の主体はやっぱり(医師でなくて)患者なわけですわ。たとえ医学的には失敗でも納得する患者もいる。医学的に成功してすっきりしたい医師のエゴに注意。
最近先が暗かったんです。自分、できないじゃない?できるようにならなきゃ、ってプレッシャーが重荷で。正しい検査して正しい診断して正しい治療して、、、何が楽しくてこの仕事かなって。何も面白くない。でもまた思い出したの、面白み。人それぞれの世界!医学的な価値観を持った自分が、患者それぞれの価値観と相対して、相談して、折り合いつけながら適切な医療を提供していく。知識は技術はそのための手段に過ぎなかった!これは面白い仕事だぞ!?
05/17 23:45 | 医療/仕事
ツイート


