2005年2月 1日
インフォームド・コンセント
まずは基礎知識から。「インフォームド・コンセント」の主語は医師ではなくて患者です。informedは動詞informの受け身形みたいなものですから、患者が、医師から情報を与えられた上で同意する、ってことですね。最近は患者の権利を尊重しようということになっています(個人的には大賛成です!)から、国試にもインフォームド・コンセントの重要性を問うものがしばしば出題されています。その中で気になったものを1つ取り上げます。
「医師の対応として適切なものはどれか」という問題だったのですが、選択肢に次のようなものがありました。
事故が発生しても訴えられないように、インフォームド・コンセントを得た。
もちろん国試的に×なのは明確ですが、でもこれって実は人間の真理を言い得ているのではないかなぁと思ったのです。
今でこそ「患者の権利」のために大切だと言われているインフォームド・コンセントではありますが、もともとはアメリカで医療訴訟が激しくなって、医師が生き残るために必要になってきた概念だと理解しています。(ここでもキーワードは「必要性」です。)
いくら「患者の権利」が大切だとしても、医師だからといってみんながみんな立派な人とは限らない(もちろんそうあるべきですが)わけで、それなら医師の良心に期待するのではなくて法律で「患者の権利を侵害してはならない」って定めて、守らなかったらペナルティ(裁判で負けて損害賠償!)を課すぞ、っておどすのが(残念ながら)1番なのではないかなぁと。
決して患者の権利が大切ではない、と言っているのではないですよ?言いたいのは、人はそんなに立派じゃなくて(人間性悪説)、「これをするのがいいことです!」と示してもなかなかやらなくて、でも「これをやってはいけません。もし守れなかったらペナルティを課します」ってなって初めて動き出すのでは、ということ。飲酒運転の取り締まりがそのいい例でしょう。「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな」って言われても根拠なく「まぁ大丈夫」って運転してたのに、平成14年6月に道路交通法が改正されて罰則が厳しくなった(酒気帯び:5万→30万、飲酒:10万→50万)途端、飲酒運転による事故数・死亡者数は30%も減ったそうです。
こういうのって「さみしい」と言えなくもないけど、でも「人間そういうもの」って割り切っちゃえば話はとても簡単になる気がします。なのに国試の問題と来たら!歴史と人間の真理に対する無知と冒涜!?ってのは言い過ぎでしょうが、やっぱインフォームド・コンセントは「訴えられたくない!」ってゆう医師の心理の表われだと思うので、そのことに目をつぶって理想でものを語っても意味ないんちゃうかなぁ…と思ってしまったということです。
02/01 15:19 | 医療/仕事
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