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2011年8月14日

中西準子『環境リスク学』

読了。震災後の原発問題でモヤモヤしてたときに読み始めた本。初日に9割読んだのに、そこで止まっちゃってた。

著者は、日本中がダイオキシンブームで焼却炉潰せーって騒いでたときに、「焼却炉からのダイオキシンは実は少しで、ほとんどは70年代の農薬の残り」ということを、現場で地道に調査してデータ集めて、科学的に分析して主張した人。だいぶ叩かれたらしいけど、ひるまなかった熱い人。

「青酸カリ」と「たばこ」はどっちが僕らにとってリスクが高いか。青酸カリはもしあれば0.5gで死んでしまうけど、めったにお目にかかれない。かたや、たばこは1本で死ぬことはまずないけど、今も昔もそこら中にあるから、癌という形で僕らに悪影響を及ぼす。たばこの方がリスクは高い。リスク=ハザード(もしあったらどれだけ悪いか)×確率。

リスクというのは未来予測なので、実際に起こってみないと正確には評価できないわけだけど、だからといって危険なものは全部やめましょう、では何も始まらない。今できる方法を使って少しでも実際のリスクに近くなるように、評価していく著者の誠実で熱心なプロとしての姿勢にに本当に心を打たれた。

医師も、副作用のある薬や偶発症の起こりうる手術のリスクと、治療しない場合の病気のリスクを、わかっているデータをもとに誠実に評価して患者に提案することで、患者はそれぞれにとって最良の選択をすることができるのだろう。

原発問題も似ている。個人的にはハザードも確率もどっちも小さくて、低リスクと考えているけど、これだけ多くの不安を煽ってしまっては、さすがに「推進」はもう無理だろう。でも「現状維持」と「脱原発」双方のリスクを十分に評価して議論してほしい。どこかのおバカな首相は一般の人の不安につけこんで支持率上げようと、まず理念ありきの「脱原発宣言」しちゃったけど、原発が悪で脱原発が善とか、そういう話ではないでしょうに。

今後は日本でも、リスク評価の考え方が広がっていくと思うし、そうでなきゃいけないと思ったのでありました。

08/14 02:22 | 読書

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